🐢【モリイシガメファーム計画②】どんなモリイシガメファームを作るのか|第2章/全9章
第1章では、
「なぜ私はモリイシガメファームを作るのか」
について書きました。
2019年に東京のマンションでモリイシガメの飼育を始め、
2021年にファーム構想の草案を作り、
2023年に愛媛県南予地域の山間部へ移住。
そして2026年9月、種親候補となるメスが5匹揃ったことで、本格的にファーム作りを始めることにしました。
では次に、
「実際に、どんなモリイシガメファームを作るのか?」
今回は、これから作ろうとしているファームの全体像についてまとめます。

目標は「繁殖メス30匹」を中心とした専門ファーム
まず、ファームの一つの目標としているのが、
繁殖メス30匹
です。
オスについては、血統や繁殖計画を考えながら必要な個体を残し、
最大10匹程度
を維持する構想です。
ただし、
「大きな囲いを作って、そこへ何十匹もまとめて入れる」
という飼育方法にはしません。
基本的には、
繁殖個体を1匹ずつ管理できるファーム
を作ります。
メスにはメス用の標準飼育設備。
オスにはオス用の標準飼育設備。
そして繁殖するときだけ、選んだオスとメスを繁殖専用設備へ移動させる。
こうすることで、
- 個体管理
- 血統管理
- 繁殖管理
- 健康状態の確認
- 記録
を行いやすくします。
ファームは大きく5つの飼育エリアに分ける
モリイシガメは、生まれてから繁殖個体になるまで長い時間がかかります。
そのため、成体だけを飼育できればいいわけではありません。
ファーム全体は、大きく5つの飼育エリアに分ける予定です。
① 繁殖メス飼育エリア
繁殖メスは、原則として1匹ずつ個別管理します。
最終目標は約30匹。
リスのプラ舟「G-220深」をベースに、
- 水場
- 陸場
- 排水
- 脱走防止
- 防獣対策
- メンテナンス性
などを考えた標準飼育ユニットを作ります。
30匹を管理するのであれば、設備ごとに作り方が違うよりも、
同じ規格の設備を並べた方が管理しやすい
と考えています。
そのため、
「繁殖メス1匹=標準ユニット1基」
という形を基本にします。
② 繁殖オス飼育エリア
オスについても原則として個別管理します。
こちらはリスのプラ舟「G130」をベースにした飼育設備を使い、
最大10匹程度
を想定しています。
水場と陸場を作り、さらに雨が降ったときに水位が上がりすぎないよう、
オーバーフロー
によって一定以上の水を自動排水できる構造も取り入れます。
オスは頭数を増やし続けるのではなく、
血統や繁殖計画を考えながら必要な個体を選抜して残していきます。
③ 繁殖専用エリア
そして少し特殊なのが、繁殖専用設備です。
私はこれを、
「ラブホテル」
と呼んでいます(笑)
普段は別々に飼育しているオスとメスを、
♂1匹+♀1匹
で繁殖時だけここへ移します。
単なる狭い交尾用ケースではなく、
- 水場
- 陸場
- 植物
- 流木
- シェルター
- 遮蔽物
- 視線を切れる場所
などを作り、ある程度広い環境にする予定です。
重要なのは、
「交尾できること」だけではなく、「メスがオスから距離を取れること」
です。
モリイシガメでは求愛や交尾行動が激しくなることがあるため、メスが逃げたり、視線を切ったりできる環境を作ります。
また、
どのオスと、どのメスを、いつ一緒にしたのか
を記録することで、繁殖管理や血統管理にもつなげます。
④ 亜成体育成エリア
ベビーをある程度育てた後は、屋外の亜成体育成エリアへ移します。
ここでは、まだ性別が確定していない若い個体を育てます。
成長して性別が分かるようになったら、
メス → 将来の種親候補
オス → 血統や繁殖計画を考えて必要な個体を選抜
という形で振り分けます。
ファームを将来的に大きくしていくためには、
生まれた個体を全部販売しない
ことも重要です。
自分のファームで生まれた個体の一部を残し、次世代の種親へつなげていきます。
⑤ ベビー育成温室
孵化したばかりのベビーについては、最初から屋外へ出すのではなく、まず室内で育成する予定です。
そこで活用するのが、
現在使っていない納屋
です。
この納屋を改装し、
モリイシガメのベビー育成用温室
にします。
中には、
- ベビー用飼育容器
- ラック
- 照明
- 温度管理
- 給排水設備
- 環境センサー
などを設置。
ここでおよそ1年間育てた後、屋外の亜成体育成エリアへ移していく構想です。

モリイシガメがファームの中を循環する
これらの設備は、それぞれ独立して存在するわけではありません。
すべてが一つの飼育・繁殖サイクルとしてつながります。
産卵・孵化
↓
ベビー育成温室
↓
屋外亜成体育成エリア
↓
成長・性別判定
↓
繁殖メス/繁殖オスの個別飼育
↓
繁殖専用「ラブホテル」
↓
交尾後、それぞれの個別飼育設備へ戻す
↓
産卵
↓
次世代へ
という循環です。
つまり私が作ろうとしているのは、
「カメをたくさん置く場所」ではありません。
モリイシガメが、
生まれる
↓
育つ
↓
選抜される
↓
繁殖する
↓
次世代が生まれる
という流れを、一つのシステムとして管理できるファームです。

そして、もう一つの柱がAI・IoT
ここまでなら、
「モリイシガメ専門の繁殖ファーム」
です。
しかし、私が作りたいファームには、もう一つ大きな柱があります。
それが、
AI・IoT・自動化
です。
ファーム内には、複数のPoEカメラや環境センサーを設置する予定です。
例えば、
- 気温
- 水温
- 湿度
- 土壌温度
- 土壌水分
- 水位
- 照度
などを継続的に記録します。
さらにカメラでは、
- 個体の行動
- 水場と陸場の利用
- 繁殖行動
- 産卵行動
- 長時間動いていない個体
- 外部からの侵入者
- 野生動物
などを監視していきます。
異常があれば、スマートフォンへ通知する。
最終的には、
人間が24時間見続けなくても、AIとセンサーが24時間ファームを見ている
状態を目指します。
AI・IoTは「飼育」だけでなく「ファームを守る」ためにも使う
AIやIoTを使う目的は、モリイシガメの飼育管理だけではありません。
屋外ファームでは、
- 人の侵入
- 野生動物
- 設備への異常
などへの対策も必要になります。
そこで、ファームの外周には防犯・防獣用のフェンスを設け、その内側に複数のPoEカメラやセンサーを配置する予定です。
カメラの映像はAIで解析し、人や野生動物などを検知。
さらに地面センサーなども組み合わせ、異常を検知した場合にはスマートフォンへ通知できる仕組みを作ります。
将来的には、
- 固定式警戒ユニット
- モノレール式警戒ロボ(機能非公開)
- その他のセキュリティ設備(詳細非公開)
なども組み合わせていく構想です。
もちろん、これらの目的は生き物や人を傷つけることではなく、
異常を早く発見し、ファームと飼育個体を守ること
です。
つまりAIには、
モリイシガメを見る
だけではなく、
モリイシガメが暮らすファームそのものを見守る
役割も持たせます。
「飼育しているだけでデータが貯まるファーム」にしたい
さらに重要なのが、
データ
です。
一般的な飼育記録は、
「人間が書く」
必要があります。
しかし、頭数が増えるほど、すべてを人間が毎日記録するのは大変になります。
そこで、
センサーから環境データが自動的に入る
↓
カメラから映像が入る
↓
AIが行動を解析する
↓
個体情報や繁殖記録と紐づく
という仕組みを作ります。
最終的には、
モリイシガメを普通に飼育しているだけで、飼育・繁殖データが自然に蓄積していくファーム
にしたいと考えています。
最終的には飼育管理の一部を自動化する
さらにその先には、自動化があります。
例えば、
水位が下がる
↓
センサーが検知
↓
システムが判断
↓
自動給水
↓
正常な水位に戻ったことを確認
↓
記録
という流れです。
将来的には、
- 給水
- 散水
- 換気
- 遮光
- 照明
- 各種設備制御
などとも連携できると考えています。
つまり、
見る
↓
感じる
↓
考える
↓
動かす
↓
確認する
↓
記録する
という循環を作ります。
そして、この循環の外側には、
「守る」
という仕組みを置きます。
飼育環境そのものに異常がないか。
野生動物が侵入していないか。
人が侵入していないか。
設備が正常に動いているか。
こうした部分も含めて、AI・IoTでファーム全体を見守ります。
ただし、
完全無人のファームを目指しているわけではありません。
健康状態、怪我、病気、繁殖など、生き物を扱う上で重要な判断は人間が行います。
AIや機械に任せたいのは、
人間が毎日繰り返している監視・計測・記録・単純作業
です。

たなブリードラボ × たなリテックラボ
このファームには、私が取り組んでいる二つの活動をつなげる意味もあります。
たなブリードラボ
モリイシガメを飼育・繁殖する。
↓
たなリテックラボ
AI・IoT・電子工作・自動化・ロボティクスを開発する。
↓
その二つを同じ場所で組み合わせる
つまり、
モリイシガメファームそのものを、次世代型飼育設備の実証フィールドにする
ということです。
実際に生き物を長期間飼育する場所だからこそ、
「本当にこの仕組みは使えるのか?」
を検証できます。
作る
↓
使う
↓
問題を見つける
↓
改良する
↓
また使う
このサイクルを、実際のファームで何年も回していきます。
私が作ろうとしているファームの全体像
まとめると、
繁殖メス約30匹
+
繁殖オス最大約10匹
+
繁殖専用設備
+
屋外亜成体育成場
+
納屋を改装したベビー育成温室
+
PoEカメラ
+
IoT環境センサー
+
飼育・繁殖データベース
+
AIによる監視・解析
+
防犯・害獣対策
+
将来的な飼育自動化
という構成です。
目指しているのは、
モリイシガメの専門繁殖施設
×
AI・IoT・ロボティクスの実証フィールド
です。
そして、このファームには大きく3つの流れがあります。
一つ目は、
「生まれる → 育つ → 選抜される → 繁殖する → 次世代へ」
というモリイシガメの繁殖サイクル。
二つ目は、
「見る → 感じる → 考える → 動かす → 確認する → 記録する」
というAI・IoTによる飼育管理のサイクル。
そして三つ目が、
ファームと、そこで暮らすモリイシガメを「守る」仕組み
です。
この3つを一つの場所でつなげることが、私の考えているモリイシガメファームの全体像です。

第1章では、
「なぜ作るのか」
を書きました。
今回の第2章では、
「何を作るのか」
という全体像をまとめました。
ここから先はいよいよ、
「では、それを実際にどう作るのか?」
に入ります。
次回|第3章「繁殖メス30匹をどう飼う?標準飼育ユニットを作る」
次回から、個別の設備設計に入ります。
最初に取り上げるのは、このファームで最も数が多くなる
繁殖メス用の標準飼育ユニット
です。
目標は約30基。
リスのプラ舟「G-220深」をベースに、
- 水場
- 陸場
- 排水
- 上部ケージ
- 脱走防止
- 防獣対策
- メンテナンス性
などを考え、
「同じ設備を30基並べても管理できること」
を前提に設計していきます。